こんにちは、年間300冊以上の本を読むワンホ(@wanho_book)です。
近年、企業や経営者において注目を集めているのが「社員のやる気向上」です。
しかし、逆に社員がやる気をなくしてしまう瞬間というものも存在します。
その理由を知り、改善策を考えることが組織にとっても自分自身にとっても非常に重要です。
そこで今回は『社員がやる気をなくす瞬間』という書籍を取り上げ、社員がやる気をなくす原因や改善策について詳しく解説していきます。
また、職場の人間関係が大切であることや、社員のモチベーションを高めるための具体的な方法についても触れていきます。
ぜひ最後までご覧ください!
- リーダーとして、部下のやる気を引き出したいと思っている人
- チームメンバーとの良好な人間関係を築きたいと思っている人
- 自分自身のモチベーションアップに興味がある人
- 職場の雰囲気を良くしたいと思っている人
ワンホ
年間300冊以上の本を読む<本の要約家>
・読書で稼ぐ副業会社員
・Twitterフォロワー数8,000名
・直近1年の要約総数は280冊以上
書籍『社員がやる気をなくす瞬間』とは
『社員がやる気をなくす瞬間』は、2022年12月27日にアスコムより発売したビジネス書。
株式会社 職場風土づくり代表の中村英泰(なかむら・ひでやす)氏が執筆した一冊です。
まずは本書の概要を紹介します。
『社員がやる気をなくす瞬間』はどんな本?
書籍の概要についてまとめました。
商品情報は次の通りです。
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | 社員がやる気をなくす瞬間 |
表紙 | |
著者 | 中村 英泰、田中 研之輔(監修) |
出版社 | アスコム |
発売日 | 2022/12/27 |
本の長さ | 248ページ |
つづいて目次はこちら。
- 第1章 社員のやる気を奪う職場とは
- 第2章 職場風土の改善は、「関係密度」がカギ
- 第3章 「関係密度」を高められる人になるために
- 第4章 社員のやる気を一気に奪う、間違った職場づくり
- 第5章 未来に向けてどのような職場風土をつくるべきか
- 第6章 特別対談 社員同士の関係性が、なぜデジタル社会で重要なのか?
第1章では社員のやる気を奪う職場の事例、第2章では「関係密度」の重要性が紹介されています。
第3章以降は求められる人材像や間違った職場づくりの例、未来に向けた職場風土のつくり方について触れています。
また、デジタル社会における関係密度の重要性についても、特別対談を通じて紹介しています。
職場改善のための具体的アプローチが学べます!
本書で紹介されている「関係密度」については、東洋経済オンラインの記事でも取り上げられています。
著者情報
本書を著したのは、株式会社 職場風土づくり代表の中村英泰(なかむら・ひでやす)氏。
人材サービス会社に勤務したのち、「働くことを通じて役に立っていることが実感できる職場風土」を創るために起業。
年間100以上の研修や講演に登壇する実務家キャリアコンサルタントであり、ライフシフト大学の特任講師もされています。
なお、2021年に開催された『OBCビジネスフォーラム』での講演はこちらから見ることができます。
やる気がある職場をつくるには
それでは本書の中身を見ていきます。
やる気がある職場をつくるための基本的な考えを理解していきましょう。
やる気がある社員が多い会社は活気があり、結果として業績が上向きになります。
そんな職場をつくるために、まずはやる気が上下する原因を突きとめることが重要です。
その上で、どんな職場を目指していくべきかについて解説します。
人のやる気を上げるもの
社員がやる気をなくす瞬間。
そんなタイミングは職場のあらゆるところにあふれています。
当然、やめるつもりで入社する人はいませんよね。
実際に124人の社会人を対象に行った調査の結果、「仕事を通じてやる気を無くしたことがある」人は96.2%に及びました。
日常にある「やる気をなくす瞬間」が少しずつ積み重なると、結果として転職という選択に向かいます。
では、人のやる気に影響を与えるものとして何が考えられるでしょうか?
ひとつは給与や賞与、職場に設備環境や福利厚生などの「物的側面」。
もうひとつは社内の雰囲気や上司と部下の力関係、仕事のストレスや満足度などの「人的側面」です。
人のやる気を上げるもの
特に人的側面へのアプローチには改善までに時間を要するいっぽう、効果が長く持続します。
この人的側面を改善すれば社員同士の関係性が良くなり、職場風土が改善され、社員のやる気UPにつながります。
結果として良い企業文化がつくられ、利益を生み出せるようになるのです。
4つの職場風土タイプ
社員のやる気に大きくかかわってくるのが職場風土です。
職場風土とは、社員同士の長年の関係でつくられる文化のことを指します。
たとえば、次のような職場風土が考えられます。
- 活発に意見交換ができる「活気づいた職場風土」
- ワンマン上司がいて「上司に様子をうかがう職場風土」
この職場風土は「接触の量」と「接触の質」の組み合わせで4つに分けられます。
次の図を見てください。
職場風土タイプ
なかでもすべての職場が目指すべきは「創発型風土」です。
この創発型風土は、互いの考えをオープンに議論し、協力して物ごとを進められる点が特徴です。
トラブルはあるものの職場で協力し合って、問題を解決していくことができます。
接触回数を増やしつつ、接触の質も高めていきましょう。
自分の職場がどの風土タイプなのか気になる方は、ぜひ診断してみてください。
関係密度とは
ここまで職場風土を改善するために、社員同士の関係性を高める必要があることがわかりました。
そこで欠かせない要素が「関係密度」です。
関係密度とは、要するに「人と人の関係性」のこと。
接触の頻度や質も加味して考えていくことが重要です。
飲みにケーションが多ければいいわけではないよ!
実際に関係密度が高い職場には、次のような特徴があります。
関係密度が高い職場の特徴
風通しが良く、成果を出しやすい環境であると言えますね。
- 人のやる気を上げるものとして「物的側面」と「人的側面」がある
- 効果の持続性を考えると、人的側面への対策をすべき
- 社員同士の関係性(関係密度)を高めることで職場風土を改善できる
- 職場風土のいい部署や会社では成果が出やすく、退職者も少ない
関係密度を高める方法
ここからは具体的に関係密度を高める方法を見ていきます。
本書のキモとなる部分です。
自己開示と欠点宣言
僕も経験あるのですが、会社には「無口で怖い上司」や「話の通じない上司」と思われがちな人がいます。
実際はやさしい人なのですが、周囲から間違った印象を持たれているのです。
この人柄の誤解は、周囲の目に無自覚な人にほど起こりやすい傾向があります。
周りの人に自分がどんな印象を与えているか考えられていないのです。
実際の自分と異なった印象を持たれると、部下や同僚から距離をとられ、良好な人間関係を築くのが難しくなります。
このような事態を防ぐために大事なことが、上の立場の人から積極的に距離を縮めていくことです。
部下から上司に話しかけて距離を縮めるのは難しいよね。
昨日あった出来事など、ただの雑談でも構わないので自分のことを話してみてください。
また、自己開示をするときは自分の欠点について話すことも効果的です。
立場が上だからと威張るのではなく「自分にはこんなダメなところがある」と話してみるのです。
人はカンペキな人間よりも欠点がある人を好む傾向にあります。
欠点がある人は愛着を持たれやすく、結果として周りがその人を支えようと奮闘します。
さらっと弱みを話せる大人はかっこいいですよね!
昔話はは退屈に思われる可能性大なので要注意です。
正しいキャリア観を持つ
上司がかかわるべき部下の課題には2種類あります。
- 物理的課題
→ タスクが明確ですぐに解決可能 - 適応課題
→ 抽象的で解決困難。時間をかけて適応すべき
とくに「今後のキャリアに関する不安」は適応課題に該当しますが、物理的課題と混同してしまう上司は多くいます。
面談などで相談されて、すぐに解決しようとするのはNGです。
対策として、正しいキャリア観を持ちましょう。
まず大前提として、人には解決できない問題が山ほどあります。
学校での勉強と違い、社会では正解のない問題がたくさんあるのです。
この事実を理解したうえで、キャリアに関して部下の悩みに寄り添うことが大切です。
- どのように働くか
- なんのために働くのか
- どのような人生を送りたいのか
これらの問題は解決を急がずに、一緒にかかわっていきましょう。
誰もが陥る3つのエラー
自分のキャリアを考えることは、年代に関係なく必要なことです。
ただしその際、誰もが陥る症状(エラー)が3つあります。
それがこちら。
ひとつずつ解説していきます。
エラー①キャリア近視
まず「キャリア近視」です。
スキルが上達し人脈ができてくると、仕事量が増えて忙殺されることが多くなります。
目の前の仕事に一生懸命になるがあまり、キャリアのことを考えなくなるのです。
タスクに集中するのは大切ですが、長期的なキャリアプランを視野に行動することも将来のためには欠かせません。
エラー②キャリア遠視
次は「キャリア遠視」です。
こちらはキャリア近視と逆で、遠くのことしか視野に入っていない状態を指します。
仕事に慣れ余裕が出てくると、周りの人のキャリアに目が向くようになります。
出世する人、転職する人、独立する人……
周囲と比べると、自分のキャリアが充実していないように思えてしまうことがあります。
これがキャリア遠視の状態です。
防ぐためにはいま自分が手にしているものや、目の前のタスクにピントが合わせることが必要です。
エラー③キャリア乱視
最後は「キャリア乱視」。
これは周りをうらやむ一方で、焦りから意味のない行動をとってしまう状態です。
たとえば
- 友人に「起業する」と言う
- 仕事に関係ない資格を取得する
原因は確固たる自分軸がないことです。
焦点が定まらなければ、最適なアクションをとることもできません。
エラーへの対策
では、具体的にどのような対策をすべきなのか。
方法はシンプルで、定期的に自分を分析する機会を持つことです。
- 自分がやりたいこと
- 職場における自分の立ち位置
- 他者との関係性
これらを明確にすることで自分軸が定まり、ピントがぶれなくなっていきます。
できれば毎月、少なくとも半年に1回は自己分析を行いましょう。
- 立場が上の人こそ自己開示して部下との距離を縮めよう
- 自己開示をするときは「自分の欠点」について話すとより効果的
- 部下の適応課題にたいしては解決を急がず、一緒にかかわることが大切
- キャリアのエラーに陥るのを防ぐために、定期的に自己分析すること
やる気を奪う職場とは
関係密度を高めて職場風土を改善していくうえでは、NG例を把握しておくことが重要です。
社員からやる気を奪ってしまう職場の例を3つ解説しますね。
人材確保が運任せ
離職の多い職場に人材確保は運によるものと考える傾向があります。
退職者が出ると「うちの会社とは相性が悪かったんだな」と考えてしまうのです。
本来は、”なぜ退職することになったのか”という原因を究明する必要があります。
いつまでも対策しなければ、次の人材を採用しても同じことを繰り返してしまうでしょう。
まさに穴の開いたバケツに水を汲み入れている状態です。
大切なのは職場環境を整えること。
厚生労働省による退職理由の調査結果においても過去10年以上、「職場の人間関係」はTOP3にランクインしています。
問題の本質と解決方法を取り違えないように要注意ですね。
新しい組織論に飛びつく
組織論を導入さえすれば、職場風土は良くなると考えてしまいがちです。
たとえば
- ティール組織
- ホロクラシー
- ソサイエティー3.0
あなたもひとつは聞いたことがあるのではないでしょうか。
どれも素晴らしい理論なのですが、使いこなすのは至難の業です。
組織の成立には3つの要素があります。
- 貢献意欲│
組織のビジョン達成に貢献したい意欲 - 共通の目的│
組織と社員に共通する目的 - コミュニケーション│
組織の諸情報を共有
これらの要素を取り込めていない組織はたくさんあります。
組織として成立していない以上、組織論は無意味です。
まずは時間をかけて「組織の成立」に向けて取り組むことが大切です。
とりあえず「心理的安全性」を謳う
近年「心理的安全性」というワードをよく聞くようになりました。
Googleによる社内調査で「労働生産性を高めるために心理的安全性が欠かせない」と結論されたのがきっかけです。
しかし、心理的安全性には複数の要素が含まれています。
つまり「心理的安全性を守ろう」と単体で取り組むものではなく、いろいろな施策をおこなった結果として、はじめて得られるものなのです。
とりあえず心理的安全性を謳っても意味はありません。
では具体的に、心理的安全性を高めるのはどうすべきなのか。
今すぐ個人で取り組める方法を3つまとめました。
- 無表情をやめる
- 交流の機会を積極的に増やす
- 相手の意見を最後まで聞く
職場で働いている人たちの関係性を改善することで、心理的安全性は守られていきます。
まずは上記の行動から取り組んでいきましょう!
- 人材確保で大事なのは運ではなく、職場環境を整えること
- 組織論に頼るのは、基礎を押さえた組織を成立したあと
- 表面的な言葉にとらわれず、心理的安全性を高める行動を自らしよう
感想・まとめ
本記事では、中村 英泰氏の『社員がやる気をなくす瞬間』を要約しました。
職場の関係密度を高めていけば、ひとりひとりの自律性や有能感が育っていきます。
それらがやる気UPにつながり、成果の出る組織ができあがることで会社は発展していくのです。
本書を読み、一読者としては
- いい職場と何か
- 離職率を下げるために個人でできることは何か
- 自分自身のやる気を上げるためには何ができるか
これらを学ぶいいきっかけになったと思います。
会社の経営者はもちろんのこと、職場のリーダーや部下・後輩のいる会社員の方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
中村さん、ステキな書籍をありがとうございました。